2018-09-01から1ヶ月間の記事一覧

山でころんだときのこと

別に好きなわけでもないが、夫との付き合いで定期的に山へ出かける。とはいえ、日頃の生活が生活なので、初心者そのものの動きしかできず、登山を始めてから4年ほど立つにもかかわらず、いつも60代のグループに追い抜かれていく。 夫は本来、マイペースに…

ヨシダんちについて

ヨシダは同い年で、私の家から徒歩3分のところに住んでいた。彼女の家はイチゴ農家で、兄弟が4人いて、古民家に住んでいた。 子供の頃は、全くなんとも思わなかったが、今にして思えば彼女の家は90年代の日本の平均からは少し距離のある建物だった。台所は…

タチバナさん(仮名)

高校で一番仲良しだったタチバナさんは、文系選抜クラスの群れのなかでも飛び抜けて偏差値が高かった。頭の回転も早くて、その上容姿も良かった。ただ一つ残念なのは、頭が軽薄なことで、雑誌を読んでは「タナカ(タチバナさんは私をこう呼んだ)、わたし髪…

爆発回想

大学のころ、2階建てのアパートに住んでいた。周囲は畑に取り囲まれていて、憧れの都会ぐらしというわけではなかったが、図書館と美術館、それから大学が自転車圏内で、しかもフローリングだったので、その軽量鉄骨のアパートは私のお気に入りだった。 とは…

とはいえバッグなんて単なるモノだよ、と今は思う

夫と出会った頃、私は強烈に打ちのめされていた。なんでだか見知らぬ土地に一人勤務することとなって、しかも職場ではうまくいかなくって、近くに本屋も映画館もスタバもなくて、完全に頭がやられていた。 そんな中偶然知り合った夫は、頭がおかしくなってい…

南阿蘇、甘い牛乳と光る湧水、黒い大地と赤い牛肉

南阿蘇はめっちゃ良い。最高である。例えるならプールのなかで光を反射するガラス玉、草原をさざめかせる5月の風、朝日に透ける水風船、それが南阿蘇だ。 阿蘇山は、野焼きされ山肌が一面草原になっている。草の緑に墨を落とすようにぽつぽつと太った牛が放…

ミラノというところ

ミラノ駅を降りたのは、イタリア旅行も終盤に差しかかかったころだ。もはや見分けも付かないくらいたくさんの古い建物と美術品ばかり見ていた目には、明るいガラス張りの天井から差す光が、仕立ての良さそうなスーツの女性や、キョロキョロしている旅行者た…

ギョレメの気球

トルコには見るべきものが山ほどあるが、やはり第一はカッパドキアだろう。 カッパドキアとは、(詳しくは私もよく知らないが)トルコにあるアナトリア高原あたりの地域をいう。ここには薄ベージュ色のザラザラした巨大な石がキノコのように林立している。石…

空港で寝る

海外旅行に行く前は想像もしなかったが、海外に行くたびになんやかやと空港に泊まっている。よく知らない海外の空港で、財布やパスポートを気にしながら寝るなんて、やる前はとてもできないと思ったけれど、結構なんとかなるものであるし、今となっては割と…

あーラオス行きたい

突然だけどラオスに行きたい。 金を惜しんで自宅にこもっていると、頭に浮かんでくるのは去年の夏すごしたリゾートホテルのことである。街全体が世界遺産であるルアンパバーンの、中心部の端っこに位置するメゾン サウバンナフォウム ホテルで過ごした3日間…

ドライブしたい

今日は夫と洗車に行ったところ、歩道の縁石でつけたキズを発見されて叱責を受けた。夫は「あなたならやりかねないとは思ってたけども」という態度だった。そう、私は運転が苦手である。 特に苦手なのが車体感覚を把握することで、免許をとった後早い段階で「…