空港で寝る

 海外旅行に行く前は想像もしなかったが、海外に行くたびになんやかやと空港に泊まっている。よく知らない海外の空港で、財布やパスポートを気にしながら寝るなんて、やる前はとてもできないと思ったけれど、結構なんとかなるものであるし、今となっては割と好きだ。

 最初の空港泊は、たしかタイのスワンナプーム国際空港だったかトルコのアタチュルク国際空港だったような気がする。(そういえばハブ空港である香港国際空港じゃないのなんでだろう?今度夫に聞いてみよう)

 夫は最初、海外旅行初心者の妻(しかも結婚したばかりの!)を空港のベンチに寝させるつもりはなかったようで、「ラウンジに泊まろう。多分なんとかなるっしょ」と言っていた。しかし、ついてみたら、ラウンジは次々と閉まっていくし、開いているラウンジは夫の持っているクレジットカードとは関係のないところばかりで、あちこちあるき回ったあげく、我々はラウンジ計画を諦め、そのへんに寝る場所を探すことになった。

 世の中には寝やすい空港と、寝にくい空港があり、寝やすいかどうかは治安とべンチの形状にだいぶ左右される。とりあえず The Guide to Sleeping in Airports を検索すると、幸いにも治安は悪くなさそうだった。しかしすでに多くの寝やすいベンチは他の人達に確保されており、私と夫は「このまま寝ずに朝まで過ごすのか…」と悲しい気持ちになった。。

 夜もだいぶふけて(確か深夜1時ごろまで寝るところを探し回ったと思う)最後には二人なんとか眠れるようなベンチを発見し、寝っ転がりながらケータイをいじったら、またたくまに緊張が消え失せ、私はザックを抱えながらぐっすり眠った。一方で、夫は一睡もせずに周囲に気を配っていたという。

 朝、目が覚めたとき、周囲にはムスリムと思しき人達がたくさんいてガヤガヤと話し合っていた。私は複数のムスリムの人たちをこんなに間近でみることがなかったのでびっくりして、(わぁ!これが異文化ってやつなのか!)とびっくりした。

 寝るのも寝れないも、ものが盗まれても自己責任、周りは会話すらできない人ばかりというのが海外旅行である、と私は感じるんだけど、それって多分この初回の空港泊で刷り込まれた概念なのかなぁと思う。というわけで、また空港に泊まらないと行けないくらいの遠くに行きたいなー。行きたいなー。